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道央キャンプ場めぐり

夏はフェリーで悠々キャンプ・ツーリング


 夏休みをいかに過ごそうかと考えつつ、サイスポ1999/8月号の「特集・夏ツーリング」を見ていたら“ロードバイクで道央を快走”という記事が目に飛び込んできた。五年前の北海道全周2600キロ21日間では、海岸線ばかりを走ったので、確かに道央は未踏破だ。・・ということで、苫小牧にフェリーで入り、日高〜富良野〜美瑛〜旭川、そして苫小牧に戻るコースが決まった。今回は休みがたっぷりとれるので、これまでとは違い“悠々”とまわること、野宿ではなくキャンプ場に泊まること、そして、途中通過する北海道の名山に登ることをテーマにすることにした。

フェリー予約で、まず冷や汗
 早速、フェリー予約をしようと出かけたところ、苫小牧にいくブルーハイウェイラインは、なんと東京発が廃止になって大洗発となっていると聞かされオドロキ! まー、いつものごとくヨメさんに車で送ってもらえばなんとかなるとタカを括って、予約できる便を尋ねると、またまたなんと、八月はお盆の時期と重なり、四日から十八日は全部埋まっているとのこと。それで、三日に出発して十九日に戻る予定が勝手に決まってしまった。今まで夏に何度もフェリーを利用してきたが、こんなことはなかったのに・・。 毎日通勤で使っているバイクなので、出発前日に軽く整備と食料買い出し、パッキングをすます。整備は、だいぶへたっている筈の前輪チューブを新品に交換、前後ブレーキ調整だけ。以前はチューブのスペアを携行したりしたが、あまり有効だったためしがなく(タイヤそのもがバーストしたり、・・というより、峠の登りでゼーゼーいうので、荷重を少しでも軽くしたいため)、持っていかないことにした。自炊が基本なので、これも以前は米を二kgも詰め込んだが、半分に減らした。 フェリーになんとか間に合う/快適な北海道ロードひた走り  出発の日の朝、バイクを車に積みこみ、水戸経由で大洗に向かう。平日で水戸周辺が混雑していてフェリー・ターミナルに到着したのは出航の15分前。バイクを押してサンフラワーえりもに乗船するとすぐゲートが閉まり船出、やれやれ間に合った。快晴で穏やかな海や、ダイナミックに滑空する飛魚を見ながら、翌朝定刻五時半苫小牧に入港。鵡川町を経由して、今日の目的地の日高へすぐスタート。途中、義経神社、二風谷ダム(photo left)に寄ったりして北海道ロードを快調に飛ばす。話をきくと、ずっと大雨が降り続き、昨日から晴れて暑くなったそう。夕刻前には107Kmほど走り、日高の沙流川キャンプ場(photo right)へ到着。テントを張り、夕食の準備にとりかかる。ガソリンコンロでの炊飯もばっちりで、遠く日高の山々を眺めながらの食事はうまい。雄大な自然をおかずにしながらゆっくり食事するのが、何といってもキャンプ・ツーリングの醍醐味と思う。翌日は、キタキツネが出てくる日高峠・金山峠を越え、昼前には南富良野町金山湖の湖畔キャンプ場に到着。800台の大駐車場とのテント500張り以上という大キャンプサイトに驚くが、ビッグな景色、ラベンダーの花畑、よく整備された施設などさすが北海道!だ。この日は湖に浸かったり、ビールを飲んだりアウトドアを満喫。日中はけっこうな暑さだが、やはり夜間は気温が下がり、テント内でも持参したシュラフカバーを使わないと寒いぐらいだ。
二風谷ダム沙流川キャンプ場

いよいよ富良野へ 二日も天候回復を待った芦別岳登山を断念  6日朝は、次のベースキャンプになる富良野の山部・太陽の里キャンプ場へ。ここも広い公園のなかにあり、無料だったが気持ちのよいサイトだ。ちょうど芦別岳(1726m)への登山口に位置しており、急に立ち上がる山容が素敵だったので、テント設営をしてから登山の用意をしていると雨が降り出し、待機。結局、この日は雷を伴う大雨になってしまい公園の高台で山々を眺めながら過ごす。翌日は晴れたが、山の方は厚い雲で覆われていたので、山部の町や周辺の花畑を散歩したりする。この辺はトンボがたくさん飛んでいて、人の体や、本を読んでいると本に止まったりカワイイもんだ。今回は時間の余裕がたっぷりあるので、ツーリング主体というよりゆったり避暑に来ているような案配だ。明日は芦別岳にチャレンジしようと夕刻、登山口にいってみると、下山予定時間をだいぶ過ぎても戻ってこない登山者がいると騒ぎになっている。待っていると、暗くなり始めた7時すぎ、ようやく泥だらけになった男性が下山してきた。やはり大雨の後なので、ルートが荒れて泥沼のようになり時間が倍ぐらいかかったとのこと。これを聞いて、単独行の私としては恐ろしくなり、また山の装備も十分ではないので(荷物軽量化のため、山靴ではなく運動靴なのだ!)、意気あがらず断念・・山は他にもあるヨ。 ふらので試食ツーリング  翌日から『北の国から』富良野を巡る。まず前富良野岳方面へ上りつめたところにあるふらのジャム園でジャム試食。パンきれが2cm角ぐらいで、しつこく食べてもなんか満足感がなかったが、山葡萄、コケモモ、いたどりなど珍しいジャムが30種類もある。展望コースには『北の国から 92巣立ち』のロケ地がたくさんあり、カメラポイントの案内など気が利いている。(荷物になるので)ジャムは買わずに・・、次は同ドラマの「五郎の石の家」へ。それから富良野市中心部に戻るのにショートカットしようとしたら、急な下りで、ジャリだらけ区間が3Kmもあってバイクのコントロールができずバスにぶつかりそうになる。迂回案内板がいくつも出ているので無視してはいけませーん。この日は中心部に一番近い鳥沼公園キャンプ場へ。ここは“長期滞在バイト者ご用達”と、うわさに聞いていたとおりで、なんか風雨に晒されたテントばかりで、今はやりのファミリーキャンプサイトとは全く違う一風変わった雰囲気。若い連中は皆知り合いばかりで、古手がバイト先のアドバイスなどよく面倒みているようだった。鳥沼は大きな虹鱒がいたり、ボートで遊んだりできる。次の日には、チーズ工房で見学・試食、ふらのワイン工場でワイン試飲、ぶどう果汁工場で試飲と、午後にはいいかげんできあがってしまい、木陰で2時間ほど気持ちよい昼寝。中富良野の北星森林公園へ向けペダルを踏み、そこのキャンプ場で泊り。ここも半数ぐらいは、長期滞在型テントのようだった。立派な道路をはさんで両斜面をテントエリアにするあまり望ましくない配置で、案の定、夜遅くまで車・オートバイの音が反響し閉口した。翌朝、ラベンダーブームの発祥といわれるファーム富田へ。ラベンダーは終わっていて、コスモスばかりだ。 十勝岳も露天ブロも最高  上富良野から、いよいよ1200mの十勝岳温泉を目指して高原道を登りはじめ、やはり一気にという訳にはいかず、後半はペダリングしたり歩いたりで約30Kmを4時間かかる。雄大な山稜を楽しんでから、ちょっと下ってサイスポ記事にあった無料の吹上露天の湯へ。山あいの露天湯で、傍らの小屋で裸になり(女性は水着だが、男はタオルだけ)、湯に浸かるとまるで天国。谷川の水でうすめているのだが、湯の温度が高くて長くは浸かれず、フロのまわりで地元の人たちと話に花をさかせる。人気スポットなので次から次に入浴客がきていた。さらりとした湯につかったり、谷を吹く風にあたったり小一時間ほどで上がり、すぐ側の白銀荘のキャンプ場へ。よく手入れされた芝とか、十勝岳の全容を眺められるロケーションは素晴らしい。ビールがうまかったこと! こんな夜空の満天の星は、よそでは味わえない。11日は、午前4時に起床、朝飯をたべて登山準備し、5時に入山。まず三峰山1866m頂上に上がってから、十勝岳温泉に降りて、また上富良野岳1893mにあがり、そこからは稜線を歩き、上ホロカメットク山1920mを経由して十勝岳2077mへ。ほぼ5時間かかった。なぜか無数のトンボが乱舞する頂上部、かれんな花を咲かせる高山植物、十勝連峰の絶景、噴煙をあげる火口などまさに疲れのふき飛ぶ眺望だ。降りも登山道の足場がよくなく3時間かかって十勝岳温泉でゴール。一日二本しかない町営バスに運良く乗れて白銀荘に戻り、また露天湯を堪能。それから美瑛へぬけるルートをかけ降りて、途中の国設白金野営場へ。ここも広々とした気持ちのよいキャンプサイトだった。翌日は「丘のまち」で売出中の美瑛(photo)へ。確かに畑と丘ばかりで、どこを周るにもアップ&ダウンばかりで、サイクリストにとっては疲れる。気に入った公園で一泊(ちょうどペルセウス流星群をばっちり観測)してから、旭川にハンドルを向ける。ケンとメリーの木 大雪へはやむなくバス利用  日本で最初の買物公園、花いっぱいの常盤公園などを回って、忠別川に沿った神楽岡公園キャンプ場へ。管理人さんがとても親切でした。14日には、念願の大雪山へ向かう。実は、十勝登山の後遺症で足が上がらなくなり旭岳登山は諦め、無料定期バス「いで湯号」利用に切換えたワケ。一時間ほどで天人峡につき、ダイナミックな羽衣の滝、敷島の滝を散策、温泉につかってから、バスで旭岳登山口のある旭岳温泉を経由、旭川へ戻る。ちょうど一日で楽しめるコースです。旭川で、一応行っておかなければならないラーメン村(中心部から5Kmほど郊外)(photo)へ走り、天金という野菜系のラーメンのうまい店を訪ねました。これで芦別・旭岳登山以外は、今回の目標を達成し、あとは苫小牧に戻るだけとなった。帰ることを考え始めたら、もう楽な方がいい!ということで、当初プランした芦別〜夕張の国道452号は山道が多いので敬遠し、幹線国道12号で滝川〜美唄〜岩見沢、234号で追分〜苫小牧ルートに変更。トラックが多く、向かい風となったが、ほとんどフラットなコースで、ゆでたてとうもろこしなどほうばりながら、岩見沢で一泊(運動公園)し16日昼には苫小牧着。お盆から首都圏へ戻るのに都合よい、この月曜夜のフェリーが一年で最も混雑するそうだが、しぶとくキャンセル待ちをしたら乗船できることとなり真夜中に出港。翌17日午後7時に大洗港着。ヨメさんに迎えにきてもらい無事帰宅。  結局、13日間で645.8Kmとゆったり・ゆとりの道央ツーリングで、12泊全キャンプ(うちキャンプ場8ヶ所−10泊)、十勝岳の制覇、ほとんど外食なしの自炊、一度も自転車のパンク・故障もなく順調だったのに加え、体重3Kgほど減量とおまけもつきました。
旭川ラーメン村
☆全走行距離・・・・645.8Km
☆費用・・・・四万二千円 (フェリー往復含む)
☆車種・・・・フジオリンピックOT21

■おまけカコミ
 今回テント泊した8ヶ所のキャンプ場のお勧め度:私の評価(広さ、優れた眺望、車との分離、手入れされた芝)のポイント数。括弧内はテント一張りまたは一名利用料金
日高・沙流川キャンプ場(\400)★★
南富良野町・金山湖畔キャンプ場(\500)★★★★
富良野・太陽の里キャンプ場(\0)★★★★
富良野・鳥沼公園キャンプ場(\0)★
中富良野・北星森林公園キャンプ場(\0)★
十勝・白銀荘キャンプ場(\500)★★★★
十勝・国設白金野営場(\250)★★★
旭川・神楽岡公園キャンプ場(\0)★★★


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