1997-2001 My Book Review

2001 2002.1.5
 年間で読んだ80作ほどのうちから印象深かったのは次の8点。どうも、『このミス』『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』らの上位作品も目を通すのですが、あまりぴんとくるものがなく、かなりユーモア系に偏ったリストになりました。ウェストレイク、エルキンズ、イヴァノヴィッチ、ハイアセンらお好み作家の新作がでるとほっとします。
 あと、一昨年あたりから楽しんでいる清水義範ものを単行本で15冊ほど含んでいます。昨年亡くなって知った山尾三省の生き方とか考え方の本も興味深かったですね。
ドナルド・E・ウェストレイク最高の悪運早川 2000ドートマンダーもの長編第9作
アーロン・エルキンズ略奪新潮 2001美術館学芸員クリス・ノーグレンに続く新しいシリーズ
ゴードン・スティーブンズカーラのゲーム創元 2001"テロリストと、そのヒロインを追うSAS隊員、舞台はボスニア"という久方ぶりの本格冒険・国際謀略ミステリ
ネルソン・デミルプラム・アイランド文芸春秋 1999デズモンド・バグリイを想わせるクラシックな冒険小説を髣髴とさせながら・・
ケン・フォレットハンマー・オブ・エデン小学館 2000初めて小学館から出版されたフォレットの近作
カール・ハイアセントード島の騒動扶桑 2001ムチャクチャ楽しめるフロリダ・ユーモア・ミステリ
ディブ・バリービッグ・トラブル新潮 2001アメリカ人気コラムニストの処女“爆笑クライム・ノヴェル”
ジャネット・イヴァノヴィッチけちんぼフレッドを探せ!扶桑 2001バウンティ・ハンター=ステフ・シリーズ第5弾はますます冴える
 
山尾三省ここで暮らす楽しみ山渓 1991
山尾三省カミを詠んだ一茶の俳句地湧社 2000
エリック・ハンセンラン熱中症NHK 2001

2000
 今年も年間で68冊と少な目で、だいたい一週間に一冊というペースだったが、印象深かったのは以下13点。2000年出版のミステリもけっこう読んだのだけど、『このミス2001』の海外上位作品との乖離が大きくて、1位トンプスン『ポップ1280』、12位ゴダード『一瞬の光のなかで』、9点ラヴゼイ『地下墓地』、8点ナットマン『ウェットワーク』、7点ブロック『泥棒は図書室で推理する』、話題作のラリヒ『停電の夜に』は私にはぴんとこなかった。ともあれ、わが文学部三川基好先生が訳出した『ポップ1280』『キル・ミー・アゲイン』『ウェットワーク』が上位に食い込んでとても結構でした。伝統的なチャンドラー、クリスティ、ラヴゼイが自分にとっては面白かった。それと、ミステリ以外でいろいろな異なる分野の著作に触れられたのが良かったかな。
ドン・ウィンズロウ歓喜の島角川 1997ユーモアたっぷりのしゃれたタッチがあなどれない
ジョン・ダニング名もなき墓標早川書房 1999『死の蔵書』『幻の特装本』よりも以前に書かれたものだが、小さな事件からつぎつぎに拡がる謎を追うストリーテラーとしてのダニングの面白さ
ピーター・ラヴゼイ猟犬クラブ早川 1997ミステリ読書会<ブラッドハウンズ・クラブ>では、会員が好みのミステリの作家や作品をほめたりけなしたり・・・
ピーター・ラヴゼイ暗い迷宮早川 1999ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第五作
テレンス・ファハティキル・ミー・アゲイン早川 2000しゃれた会話、映画そしてハリウッドへの愛着、男達の哀愁・・・
レイモンド・チャンドラー深夜の告白小学館 2000チャンドラーの最初で、最良のシナリオ。研ぎすまされた緊張感
アガサ・クリスティマン島の黄金早川 1998クラシカルなミステリの楽しみ
 
前川恒雄著作集出版ニュース社 1999公共図書館を考えるバイブル
瓜生卓造谷川岳 生と死の条件中公 1969凄ざましい山岳遭難の記録
加藤則芳ジョン・ミューア・トレイルを行く平凡社 1997あこがれのバックパッキング340Km
清水義範自選傑作集
日本ジジババ列伝
日本語の乱れ
講談社 1991
中央公論 1995
集英 2000
ついて行くのに疲れるほどのユーモア連発

1999
 この年の読書メモは83冊と、例年よりだいぶ少なかったが、印象に残った本は以下の19作品。やはり、ユーモア・ミステリーに傾斜していて、ドナルド・E・ウエストレイクについてはほかに「悪党たちのジャムセッション」「ホット・ロック」「強盗プロフェッショナル」も面白かった。そして極めつけはジャネット・イヴァノヴィッチで「私が愛したリボルバー」「あたしにしかできない職業」「モーおじさんの失踪」とどれも最高でした。大好きアン・タイラーの新刊「パッチワーク・プラネット」もでて、満足の読書ライフだったかな。(2000.1.2)
ローレンス・シェイムズ約束講談社 1997痛快フロリダ・ミステリー
ローレンス・ブロック皆殺し二見 1999こんな壮絶なバイオレンスものは、久しぶり [このミス2000]17位
スティーヴン・ハンター極大射程新潮 1999ストレートで伝統的なアクションものだが、読み出すと止められない [このミス2000]1位
マイクル・コナリートランク・ミュージック扶桑社 1998ますます円熟味を増して、二転三転するプロットにはらはらどきどき・・
ドナルド・E・ウエストレイク逃げ出した秘宝早川 1998会話が滅法楽しく、気楽に読めるユーモア・ミステリー
ドナルド・E・ウエストレイクジミー・ザ・キッド角川 1999各ページ大笑い保証付きのスラップスティック・ミステリー
トマス・H・クック緋色の記憶文春 1997冒険小説ではなかったけど、不思議に引き込まれるような感覚の作品
パトリック・リンチキャリアーズ飛鳥新社 1996スマトラの殺人ウィルスを扱ったサイエンス・ミステリー。緻密な構成とドラマチックさ
マイケル・ボンドパンプルムース氏の秘密任務東京創元 1999とことんおかしく、しゃれた探偵物 [このミス2000]30位
テレンス・ファハティ輝ける日々へ早川 1999しゃれた会話と早い展開のプロット。まさに一気に読めるクライムミステリー  [このミス2000]28位
テレンス・ファハティ折られた翼早川 1993なつかしい車がたくさん登場するし、私の好みのテイスト
ジャネット・イヴァノヴィッチサリーは謎解き名人扶桑 1999きわどい"下品"なやりとりの面白さ・楽しさ保証つき
アン・タイラーパッチワーク・プラネット文春 1999人々をみる細やかで暖かい語り口と、ユーモア、そしてほろ苦い顛末
フィリップ・リード逃げるが勝ち早川 1999ユーモアたっぷりで下品で楽しいの会話、LAの街の素敵な雰囲気
ジョー・ランズデール凍てついた七月角川 1999登場人物のキャラクター、ユーモアたっぷりの会話、迫真に富んだスピーディな展開  [このミス2000]23位
ウィリアム・ディートリッヒ氷の帝国徳間 1999南極を舞台にした久方ぶりの本格冒険小説
吉村はんなオレゴン四季物語駿台曜々 1999アメリカの地方の豊かな生活
丸山茂徳生命と地球の歴史岩波1998太陽系はあと50億年で赤色巨星化した太陽によって加熱されて蒸発し、最後には星間空間にガスとして散ってしまう
澤野新一郎神々の花園レミントン1999南ア・ナマクワランドの砂漠の花園写真集

1998
 読書メモによると、1998年は一年間で102冊読みました。この頃は、CDを聴いている時間が多くなったためかペースがちょっと落ちています。面白かった本をざっとリストすると以下の20で、ミステリが17、その他が3といった案配。こうして見直してみると、ミステリーでは、やはりエンターテイメントとして楽しめるユーモア系が圧倒的に多くなったことがわかった。 大好きなアン・タイラーは新刊がなくて残念だったけど、現在入手できる訳書7冊をまとめて購入しました。なにしろ、すぐ出版社・書店からなくなってしまうので気に入った本は手元にないと心配です。(98/12/27)
エルモア・レナードラム・パンチ角川1998三流航空会社のスチュワーデスがいきいき
マイクル・ストーン誰もがそれを狙ってる早川1996ポップでしゃれた会話
オードリー・シュールマン氷の檻早川1995北極サバイバル冒険
ローレンス・シェイムズ講談社1996ラスト・ラフ賞
ローレンス・シェイムズ争奪講談社1995キーウエストが最高
ジャネット・イヴァノヴィッチ私が愛したリボルバー扶桑社1996ユーモアミステリの極地
ジャネット・イヴァノヴィッチあたしにしかできない職業扶桑社1997ユーモアミステリの極地
ベン・エルトンポップコーン早川1997社会派ユーモア、このミス98の16位
レイモンド・チャンドラープレイバック早川1977タフでなければ生きていられない
ロバート・R・マッキャモン遥か南へ文春1955ロードノベル
スティーヴン・ハンターブラックライト扶桑1998派手なアクション、このミス99の3位
ビル・フィッチュー優しい殺し屋徳間1996コメディー・クライム
アーロン・エルキンズ楽園の骨早川1997しゃれた会話,鮮やかな推理,謎とき
ロバート・B・パーカー悪党早川1998いつものパーカー・テイスト
エイプリル・スミス特別任務早川1996FBI女性捜査官
ジョン・ダンニング幻の特装本早川1997本好きにはたまらない、このミス98の10位
R.D.ウィングフィールドフロスト日和 東京創元社1997人間味豊かなジャック・フロスト警部
海野弘黄金の50年代アメリカ講談社1989海野さんのこだわり
日本ニュージーランド学会ニュージーランド入門慶応出版部1998ニュージのバイブル
クリストフ・ランスマイヤー氷と闇の恐怖中央公論1998オーストリア・ハンガリー帝国北極探検隊の史実

1997
 宝島社『98年版このミステリーがすごい』もでたことだし、今年読んだミステリーを総括してみようーと。
1997年はなにか忙しかったせいか(一番の原因は、このホームページの開設とメンテナンスかな?)読書メモにノートしたのは91冊で、そのうちミステリーは61と例年にくらべると3割減! そして、気に入った作品のベスト20は以下のもので、私好みのパーカー、タイラーの作品が読めたし、ローレンス・ブロック、ウォンボー、ウエストレイクなど、楽しい作品があったのでまずまずですね。こうやって眺めてみると、"重い"作品より、ユーモア系が自分にあっていることがよくわかります。(97/12/30)
アン・タイラー歳月の梯子1996もう毎ページにんまりさせるユーモアとペーソス
ロバート・B・パーカーチャンス1996スペンサー・シリーズ23作目。スペンサー、ホーク、スーザンの3主役がいい味で描かれている
マイクル・Z・リューイン刑事の誇り1995パウダー警部と彼のところにきた女刑事とのやりとりが楽しい
ライオネル・デヴィッドスン極北が呼ぶ1996久しぶりの極地冒険もの 『97このミス』30位
マイクル・コナリーラスト・コヨーテ1996詩情あふれる語りくち、ひねりたっぷりのプロット 『97このミス』7位
ピーター・ボウエンコヨーテの風1996西部の大自然が美しい 『97このミス』27位
ピーター・ラヴゼイバースへの帰還1996刑事をやめたピーター・ダイヤモンドの不屈の精神がいい 『97このミス』3位
ジョン・ダニング死の蔵書1996本好きにはたまらない 『97このミス』1位
マイケル・リドパスヴァーチャル・ゲーム1997VRをおりこんだ企業サスペンス
ローレンス・ブロック処刑宣言1996NYの探偵スカダー、女友達エレイン会話が素敵。訳もていねい 『97このミス』25位
ローレンス・ブロック死者の長い列1995会話、うまいプロット!
ジョゼフ・ウォンボーゴールデン・オレンジ1996レナード風な軽いタッチ 『98このミス』22位
ジョゼフ・ウォンボーハリー・ブライトの秘密1987会話が楽しく、ハリウッドへの愛着も深い
ペーター・ホウスミラの雪の感覚1996主人公スミラが魅力的だし、デンマークの風土がよく伝わる。英国調の本格冒険小説
ドナルド・E・ウェストレイク泥棒は選べない1992ユーモアの極致
マイケル・クライトンエアフレーム1997航空機産業の内幕をよく調べてある!
ケン・フォレット第三双生児1997最新テクノロジーを駆使
G.M.フォード手負いの森1997気立てのよい探偵
ミネット・ウォルターズ女彫刻家1995多様な人物描写、最後の一行までどきどき 『96このミス』1位
ジョー・ランズデール罪深き誘惑のマンボ1996はちゃめちゃなトークに敬服 『97このミス』6位

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