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Anderson, William C. /ウィリアム・C・アンダースン

それゆけイルカ探偵!霊柩車Penelope,THE DAMP DETECTIVE (C)1974山本俊子訳 早川 1980

『「ガレージには車が二台入っていますね。フォルクスワーゲンと霊柩車。フォルクスワーゲンでで空港からここへ来られたんですか?」
「いや、そいつはわたしの友人のウィリアムズの車だ。わたしは霊柩車で来た」
「霊柩車で?」
「そう、わたしがプライベートに使っている車だ」
「霊柩車をプライベートに乗り回すってのはおだやかじゃないですね」
「どうして? 法律で禁じられているわけでもあるまいし。ロスにうちの会社の霊安所があるんで、飛行機で着いたときはわたし用の霊柩車を空港へもってこさせるんだよ」
「どうして霊柩車をお使いになるんです、プライベートに?」
「まあ考えてみなさい、警部補。霊柩車は乗り心地のいい車だ。クッションもきいている。後ろの座席はゆったりしているし、ステレオを聴いてみなさい。なかなかいけるよ。スピーカー4個、8チャンネル…」
「霊柩車にステレオを取り付けてあるんですか?」
「ムードミュージックがなきゃせっかく取りつけたバーも価値がないからね」
スメレイドはまた鼻の穴をひくひくさせた。「霊柩車の中にバーとステレオか。お棺と一緒にねぇ…」』
--COMMENT--
 ユーモア・本格?ミステリの定番作家ということを知って初めて読みました。退役将校キャラハンが翻弄される、言葉を話せるかわい娘ちゃんイルカのペネロピーの迷推理なんて、どう思いついたのか(^o^)??ですが、品のいい大人のためのコメディ童話とも言えそう。
ペネロピーは、おなかを掻いてとねだったり、お酒を飲んだり、葉巻をふかしたり…とてもかわいらしい。引用した<霊柩車>の部分からも、かなりのカットビの予感たっぷりですね。
なお、イルカ・シリーズは最初の『ペネロピー』があるだけで、本書でうちどめ。ほかにも、ユーモアたっぷりの冒険小説があるらしいので、探してみよう。(2006.4.30 #412)


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