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ARMSTRONG ,CAMPBELL /キャンベル・アームストロング

ジグが来る カマロ JIG , (c) 1987 文春文庫 、1989

『ペイガンはうなずいた.もう彼は玄関先の暗い通路にでていた.
「忘れるな」と、彼は言った.
「何か耳にはさんだら電話をくれ」 
脅し文句の先は宙に浮かせた.脅し文句はみなまでいわぬほうが効く.彼はカマロの方へ歩きだした.英国製フォードやミニなど小さな車の間にとめた米国車は、この狭い通りではいかにも場違いな印象だった.米国車はペイガンの偏愛する物の一つだ.そのスタイル、その派手さが好きなのだ.
 車のドアをあけて、運転席におさまった.スコットランドヤードの車が、距離をおいてつけてくるのを承知で、通りから通りへカマロを飛ばした.
M−4高速に入ると、アクセルをいっぱいに踏んでスピード・メーターがあがるのを見た.90まで引っ張ったところで、グラブ・コンパートメントからカセットテープを出して、デッキにぶちこんだ.
それから窓をあけて、冷たい風を顔にあてた.いそがしい車線変更で、意気地のない英国製セダンをつぎつぎに後方にとりのこした.
彼らはガソリンがぶ飲みの米国車に乗った狂人にただホーンを鳴らすだけだった.』
--COMMENT--
北アイルランド紛争の影を引きづって、アメリカに登場する謎のテロリスト、ジグそして彼を追う スコットランドヤード 特別保安部テロ取締官ペイガン.
そのペイガンがイギリスで乗り回しているのが、なんとカマロとかなり屈曲したキャラクターとうかがえるし、テロリストとの奇妙な親近感が本書のバックボーンにあり、なかなか読みごたえのある作品.(92/08) 


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