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Michael Baden, Linda Kenney/マイクル・ベイデンン & リンダ・ケニー

永遠の沈黙ポルシェ・カブリオレREMAINS SILENT (C)2005藤田佳澄訳 早川 2006

『彼はわたしに調子をあわせているだけ? それとも本当に一緒にきてもらいたいと思っている? どちらでいいじゃないの。「よかった。それじゃ車をとりにいきましょう」
「ポルシェか! カラミア事件に敗訴した女弁護士が乗るにしては、ちょっと贅沢すぎやしないか?」二人はレストラン近くの駐車場にいた。彼女はその車が中古だということは黙っていた。
「カラミア事件の前に買ったのよ。わたしだって勝訴するのよ。勝って大もうけするの、ときどきだけどね。それに服も車も贅沢ではないわ」母の哲学を披露するのはやめておいた。
 彼は手を出して、キーを要求した。彼女はその手を見た。「冗談でしょう?」
「僕が運転する」
「あなたは気づかなかったかもしれないけど、これは私の車よ。それにあなたは車を運転できる状態じゃない。ワインを二杯も飲んだじゃない」…中略
マニーはキーを渡した。ジェイクは運転席に乗り込んだ。「キーはどこにさしこむんだ?」 彼女は笑いをこらえた。「ハンドルの左よ。ポルシェ・カブリオレはルーツがレーシングだから、それに敬意を表してそこについているのよ」
「彼は足下を見た。「なんだ、こりゃ、ペダルが3つもついている」
こらえきれずに吹きだした。「当然でしょう、ポルシェですもの」
ジェイクは運転席からおりて彼女にキーをを返した。「僕はマニュアル車は運転しないんだ」』

--COMMENT--
 本職の検屍官と弁護士の夫妻が共作というアーロン・エルキンズ風のはやりの骨モノ・ミステリ。裏表紙解説では《全米ベストセラーの話題作!!》とあったけど、まぁ軽いタッチのロマンス&サスペンスでしょうね。
 引用の通り、カッコつけたい女性弁護士にしてもちょっとやりすぎのポルシェ(かの国ではポルシェはいまだにステータスなんですね)、見た目いまいちの若手検屍官の"壊れかけたおんんぼろのオールズモービル"、彼の先任の博士の"調子のよくないサバーバン"などが登場する。(2006.9.12 #435)


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