BAR-ZOHAR ,MICHAEL ／マイケル・バー＝ゾウハー

悪魔のスパイボアネルゲ THE DEVIL'S SPY,(c) 1988 早川、1991: 『窓辺にいた将校達が不意に会話をやめ、いっせいにドアに目を向けた。
ゆっくり振り返ったサウルの眼は、そこにクギづけになった。
戸口には、エジプトで既に伝説化された人物、Ｔ．Ｅ．ロレンス少佐が立っていた。
　サウルは２年ほど前にロレンスを一度見かけたことがあった。ロレンスがアラビアに名をなす以前のことだった。
　当時ロレンスはまだ少尉の身であり、すらっと背ののびた若々しい将校だった。周囲に構うことなく帽子を斜めにかぶっていたことや、ザマレクの情報部の内庭にボアネルゲのオートバイに乗って入ってきたときに風に金髪がなびいていたのが、いまもサウルの記憶に残っていた』
--COMMENT--
第１次大戦のパレスチナを舞台としたオスマン・トルコ軍とイギリス軍との攻防のさなかにくりひげられた史実の諜報戦をもとに小説化したスパイ・サスペンス。
　上記にでてくるようなアラビアのロレンスやアレンビー将軍など実在の人物が登場する中で、ロレンスにはオートバイのシーンが欠かせない。オートバイファンの方なら”ボアネルゲ”というメーカー名が多分、有名なことをご存じと思います。(92/1)