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Dave Barry/デイブ・バリー

ビッグ・トラブルBig Trouble (c)1999ハムヴィー東江一紀訳 新潮 2001

『「これでは、どうにもならないな」サイツが、ルジューン街道北行き車線のはるか彼方まで続く不動のブレーキランプの列を見ながら言った。
「この先を右に折れれば、ダグラス通りに出て、北上できますよ」ベーカーが言った。
「隣の坊やが、道をあけてくれるかな?」サイツは、右側の車線にいるハムヴィーのほうを顎で示した。
マイアミでは、よくハムヴィーを見かける。とくに、流行に敏感な金持ちが、まるでバクダード侵攻の命令が下るのを待つかのように、大型で非実用的な擬似軍用車で街中を走り回るのだ。
FBIのレンタカーの隣にいるハムヴィーには、三人の若者が乗って、後部に置かれた犬舎並みの大きさのスピーカーから炸裂する山鳴りのようなベース音にあわせ、五分刈りの頭を上下させていた。運転席にいる若者が、二日前、大物コカイン密輸業者である父親から、十九歳の誕生日プレゼントとしてこの車をもらったのだ。』
--COMMENT--
 アメリカ人気コラムニストの処女作“爆笑クライム・ノヴェル”で、看板どおりの超ユーモアミステリだった。訳者あとがきにあった「無二無類無理無茶無駄無内容無定見無節操」がぴったりの面白さ。
 マイアミの人々、情景の滑稽さがとことん描かれていて、でてくる車もハムヴィー・・と奇天烈。ほかには、ミステリーには初登場ではないかと思う韓国車とか、このごろは定番のレクサスなど。この笑って腹が痛くなるほどのミステリは、読んでみないとわかりませんね。(2001/12/19)


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