Bello, Antoine ／アントワーヌ・ベロ

『9日火曜日、午後11時30分頃、ポイント・ボニータの駐車場を散歩していた男性が、不審車を見つけた。警察はただちに現場に向かい、芝生の上で赤いダッジ・シャドーがライトを全部点灯したまま、太平洋に面して停まっているのを発見した。車内の男性は、左足を太腿の上で切断された状態で亡くなっていた。安全ベルトは締められており、上着のポケットに左足の写真が入っていた。
　亡くなった当日、クレイクはサンフランシスコ（ジグソーパズルのプロサーキット）選手権で第一回戦を戦っていた。対戦相手はスウェーデンのウッパルだった。楽勝を収めたあと、かれはテーラー・ストリートとロンバート・ストリートを上がったところにある、ヒルトン・ホテルに戻った。午後4時12分に公衆電話から電話がかかってきた。通話時間は2分間だった。それからしばらくしてクレイクが降りてきたのをフロント係が見ている。彼はレンタカーを運転してホテルを出た。その後、生きている彼を目撃した者はいない。』

--COMMENT--
なんとジグソーパズルのマニアたちの架空の世界を創りだして、その上に世界一難解なパズルモデルのコンクールにまつわる殺人事件をくりひろげるという、これぞフィクションのなかのフィクション!!という面白さ。熱く語られるジクソーの話題の、何所までが本当で、どこからが架空なのか判別がつかないほど。これだけのパロディーを紡ぎだすアイディアと体力は相当なもの。
　上記に引用に登場する、聞きなれないダッジ・シャドーは、クライスラーのダッジ・ネオンの後継コンパクトで87年から94年まで生産されたそう。※ wikipedia　(2005.12.28 #391)

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