神の獲物 | ピックアップ | TROPHY HUNT (C)2008 | 野口百合子訳 講談社 2008 |
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ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ第4作(邦訳3作目)は、ワイオミングの自然を守るためにムースの変死体から始まる事件に、郡保安官の嫌がらせ・抵抗にあいながらも必死にくらい付いていく。いわゆる自然保護系のサスペンスであり、自然の描写など好みのジャンルですね。
ただし、あまりに描き方がステレオタイプすぎじゃなかとか、ややこしすぎなプロットなどがいまいち。
書き抜きは、2番目の家畜の変死体現場に向かうシーン。ジョーの車で森林原野を走り回る場面がたくさんあるが、ピックアップとしか描かれておらずメイクは不明。シリーズ既刊を遡って読まなければね… ほかに、不動産業者の両親がのってきた古いキャンパー・ピックアップ、超常現象研究家の"トレーラーのレクサスともいうべき巨大なエアストリーム・トレーラー"など。(2008.7.24 #556)
凍れる森 | ピックアップ | WINTERKILL (C)2003 | 野口百合子訳 講談社 2005 |
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ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ第3作(邦訳2作目)。森林局や土地管理局の役人襲撃事件を機に仕組まれる反政府勢力狩りにジョーが対抗する。ジョーが捜査チームからのけ者にされながらも、厳しい冬場の山岳地帯を走り回り犯人の所在を追うアクション・シーン、森に住む鷹匠との交流など荒野ミステリとして面白いが、ストーリー上であまり意味のない養女の去就など荒削りの部分も感じられた。
ジョーのワイオミング州狩猟漁業局のピックアップ・トラックのブランドはどうも見つけられません。エルクの違法殺傷をした男の"ブロンズ色の旧型GMCピックアップ"、救急救命室の医師の<利きの早いヒーターがこの辺りで人気の>ジープ・チェロキー、逃走する犯人の<ビッグホーン・ルーフィング>のロゴがドアについた薄黄色のピックアップなどが登場する。(2008.11.22 #572)
沈黙の森 | フォード・ピックアップ | OPEN SEASON (C)2001 | 野口百合子訳 講談社 2004 |
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C.J.ボックスのデビュー作、ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ第一作は、ジョーの家の庭で事切れた狩猟ガイドの事件を探るうちに郡での開発をめぐる大きな陰謀に迫る。自然保護をめぐる野趣たっぷり舞台仕掛けは好みだが、やはり荒削りなストーリー展開など気になってしまう。
引用に出てくるジョーのフォード・ピックアップのほか、殺されたガイド達の埋葬にいっしょに埋められる1989年型F250XLTラリアート・ターボディーゼル、ハンターたちの古いインターナショナル・スカウト、前任管理官のシボレー・サバーバンなど。(2010.8.21 #646)
ブルー・ヘヴン | レクサス | BULUE HEAVEN (C)2007 | 真崎義博訳 早川 2008 |
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ノース・アイダホの牧場地帯を舞台にしたノンシリーズもの。ジェスの牧場に、殺人現場を目撃してしまった幼い姉弟が迷いこみ、追ってくる犯人たちから二人を守ろうとする中盤がはらはらドキドキのサスペンスに仕上がっている。後段はやや余分そうな付け足しトピックが加わってトーンダウン。
引用は彼の牧場のシーン。てっきり馬に乗っているものと読んでいたが、入力していて、ジェスは囲いの中に立って馬を走らせる訓練をしていた…ということが分かった。どうもしっくりこない翻訳だな。
このレクサスは、牧場売却を迫りきた不動産屋のもの、他に、女性郵便配達員の"黄色いダットサン・ピックアップ"、犯人たちのキャディラック・エスカレード、昔の窃盗事件を調べにきた元刑事が使うレンタカーの赤いフォード・フォーカスなどが登場する。(2010.8.29 #648)
震える山 | ヴァン | OUT OF RANGE (C)2010 | 野口百合子訳 講談社 2010 |
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ジョー・ピケット・シリーズ翻訳第4作は、猟区管理官の友人が自殺と思われる死亡をとげたためジョーがその後任としてジャクソンへ単身赴任する。そこで持ち上がっていたいた大きなリゾート開発の問題のなかで友人の死の真相に迫る。最後には対決することになってしまう昔かたぎのアウトフィッターとの交流はなかなか泣かせる。他の友人の鷹匠が元属していた組織から狙われるあたりは読者サービスしすぎのように思う。
引用は、ジョーの住まいの解説部分、ジョー自身は局の緑色のフォードに乗っている。ジョーの妻の母親の再婚相手の"黒のサバーバン"、ハンターたちの黒のGMC、シルバーのフォードピックアップ、緑色のユーコン、小鹿をひいてしまうポルシェ・ボクスター・コンヴァーチブル、開発業者のレクサスSUV…『ブルー・ヘヴン』でも裕福な不動産業者が同じレクサスでどうも悪役のクルマとして扱われることが多くなってきたなぁ。(2010.9.12 #650)
さよならまでの三週間 | スバル・アウトバック | Three Weeks to Say Goodbye (C)2008 | 真崎義博訳 早川 2010 |
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ノンシーリーズもの、養子をもらい育ててきたベビーを3週間後に返せと迫る連邦判事とその息子に主人公ジャックとその仲間がとことん対抗する。デッドリミテッド・サスペンスぴったりのタイトルにスピード感のある展開はなかなかのもの。ただし、後段に解き明かされてくる赤ちゃん取り戻しの訳とか、登場してくる人物が妙にすべて関係してくるなど<出来すぎ、作りすぎ>の感も。デンヴァーという街が舞台になるものの、ジャックは牧場の働き手の息子という立場になっている点で、ジョー・ピケット・シリーズとの連続性もある。
引用は、ジャックの友人の警官とデンヴァーに向かうシーン、スバル・アウトバックはのステイタスは結構高いようだ。弁護士のメルセデスMクラスSUV、連邦判事の"最新型のブルーのキャディラックSUV"、ヒスパニックマフィアをつるむ判事の息子の黄色いH3ハマー、ジャックのもう一人の仲間のレクサス、故郷モンタナの老カウボーイの"1960年代のダッジ・パワーワゴン、フォード・ピックアップ"、恐喝犯のキャディラック・エスカレードなど。都会ぽい登場車が多くなった。(2010.9.14 #651)