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BOYER, RICK / リック・ボイヤー

ナンタケットの墓標 キャデラック、ランドクルーザー他 THE WHALE'S FOOTPRINTS , (c)1988早川 、1992

『「車は白いキャデラック・エルドラルドで、窓はスモーク・ガラス、クローム仕上げのスポーク・タイヤ、コンチネンタル・キットでした?」と私は、あらかじめ決められた台詞を棒読みするように言った.
 ハグストロムは驚き顔でこたえた.「そうです、まさにその車です.どうして知っているんです?」
 「ジャックに聞いたんですよ.それと同じ車が東海岸には大体二百台ぐらいあるはずです.実は家内の弟が刑事をしてましてね.その義弟からマフィアの車に関する講義を受けたことがあるんですよ.マフィアが黒いキャデラックに乗っていた時代は、60年代に終わりました.それからマフィアの若い衆はもう余りキャデラックには乗らなくなった.一目見てマフィアだと思われたくないのでしょう.その結果、近ごろではキャデラックは、ブラック・マフィアやヒスパニック・マフィアの車になったとよく言われますが、そんな事はありません.彼らの好みは高級ドイツ車です.メルセデスとかBMWといった車です.それもコーヒー・カラーとかワイン・カラーと言ったいかがわしい色のね.また、そういう連中の中にはジャガーの大型車が好きな奴もいる.でも、昔ながらのマフィアはやはりキャデラックなんですよ.もちろん、リンカーン・タウンカーとかー」
 「もうそれくらいでいいんじゃない、チャーリィ?」とメアリーがぴしゃりと言った.』

--COMMENT--
ケープ・コッドに別荘を持ち、事件がおきると無性に首をつっこみたくなるドク・アダムズのシリーズ5作目.軽妙で愉快な仲間が生き生きと描かれており、ヨットや車がかならず登場するのも楽しい.
口腔外科医の“ドク”チャールズ・アダムズの長男ジャックの車がランド・クルーザー、次男トニーがインターナショナル・スカウト(どんな車なのか?)、妻メアリーがアウディ、友人の精神科医が“色あせたライムグリーンの1974年型ダッジ”など.(93/09)


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