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Case, John /ジョン・ケース

ゴーストダンサーニッサン・セントラGhost Dancer (C)2007佐藤耕士訳 ランダムハウス講談社 2007

『「こっから約100キロ」バーテンは教えてくれた。「なかなかいいところさ。まわりは全部国有林だ」バーテンはコースターの裏に小さな地図を描きながら、説明してくれた。「右手に青いトレーラーが見えたら、左に曲がる。そっからだいたい25キロだな。フェンスに<ビー・レイジー・ビー>って看板があるから見落としっこねぇよ」
「あんた、どんな車に乗ってる?」
バークは肩をすくめて、苦笑いした。「忘れたよ、レンタカーだから」
「オフロードか?」「いいや」
バーテンは後ろに寄りかかった。「じゃあSUVとか?」「いや、ただの…セダンだけど」
信じられないといいたげに、バーテンは驚いてみせた。「そうか、だったらきっと楽しめるぜ」
「出かける前にもう一杯やるか?」バーテンが訊いてきた。
バークが答えるよりも早く、ポーカーをやっている一人が言った。「そりゃもう一杯やるに決まってだろ…先にビールで酔っとけば、車酔いしなくてすむかもな!」みんなが笑った。
 バークはニッサン・セントラのダッシュボードのトリップカウンターをゼロにして、ゆっくり車をスタートさせた。』

-- COMMENT --
 初めて手にした著者(解説によると、ジム&キャロリン・ホーガン夫妻の共著名だそう)のサイエンティフィック・スリラー。アメリカインディアンの末裔の男が白人社会に壮大な仕返しをたくらみ、それがまさに決行されようとする。そう!マイケル・クライトン風ですがけっこう盛りだくさんのストーリーがおりこまれていて楽しめる。
 引用は、ネヴァダ州の奥地にあるその男の基地に主人公バークが向かうシーン。沢山の車が登場するが、<キャディラック・エスカレード>はよほど作者が好きとみえて、麻薬グループやら電磁パルス発射装置を積み込むピックアップトラックとして何度も登場する。(2008.2.16 #533)


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