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CLEARY, JHON Le /ジョン・クリアリー

悪女が笑うときメルセデス300SEHELGA'S WEB (C)1970沢川進訳、早川書房 1979

『かれは自動車に乗って、クーラーのスイッチをいれた。昨年、ポンティアックを売ってメルセデス300SEを買ったのだった。妻のノーマが車種を決定する全権を持っていて、もうアメリカ車はまともなシドニー人にとってふさわしくない、とかれに言ったのだ。
 かれはシートにしばらくじっと座り、ちょっと歩いただけで吹きだした汗をひっこめるために涼んでいた。そのあとで、かれはダブル・ベイの方向へ車を走らせた。かれは、月曜と木曜には公用車を使うことをせずに、かならず自分でメルセデスを運転した。その日はヘルガの日だったのだ。
 ダブル・ベイに着くと、かれは商店街の裏手の駐車場に車を入れた。そこから車をおりてわき道に入れば、ちょっと歩いただけでヘルガのフラットへ行けるのだ。かれは、車を降りる前に黒いサングラスを出していつももかけている眼鏡とかけかえたが、これではたいした変装にならないだろう、と考えていた。』

-- COMMENT --
読書メモを見返していてオーストラリア生まれの作家ジョン・クリアリーの作品が眼にとまって図書館から借り出して再読。翻訳がでて25年もたって、今は貸出がほとんどないようで、閉架書籍だった。 シドニー湾のオペラハウス工事現場で殺されたドイツ人娼婦ヘルガが発見され、マローンとクレメンツの刑事チームが、犯人を追う…という、オーソドックスな警察ミステリー。 ほかに、ヘルガの"車高の低いダットサンのスポーツ・モデル"、ぱっとしない映画プロデューサーの"7年も乗っているジャガー"、実業界の大立者の"黒いロールスロイス"、マローンの"64年型ホールデン"なども登場する。(2004.9.6)


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