ゴールド・コースト | フォード・ブロンコ | THE GOLD COAST, (c)1990 | 文芸春秋、1992 |
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ニューヨーク州ロングアイランド北海岸の超高級住宅地ゴールド・コーストで隣人同士の弁護士夫妻とマフィアのボスとの滑稽でユーモアあふれるかかわり合いがなんともいえず魅力の作品。
まさにペーソス、ウイットがとびかう会話の冴え、洒落は強烈といえるほど。この夫妻の車がブロンコとジャガーとくれば上の引用のトーンが納得いく。(92/12)
プラムアイランド | ジープ・チェロキー | PLUM ISLAND (c)1997 | 上田公子訳 文芸春秋 1999 |
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ネルソン・デミルの作品は久しぶりだが、デミルってこんなに面白かったっけ!と思うほど、大いに楽しめました。私の"面白いミステリの5条件":舞台となる土地柄が大事に描かれている、ユーモアのある会話、登場人物のキャラクター、サスペンス、ディテール、と全てを満たしているなぁ。ハリケーンが来襲している大荒れの海で、ほとんどさわったことのない高速モーターボートで犯人を追いかけるシーンなんか、デズモンド・バグリイを想わせるクラシックな冒険小説を髣髴とさせながらとてもスリルあって、これこそ冒険小説だ! 2000年版『このミス』を見返したら、上位にはランクされていなかったけど、わたしが好きな西尾忠久、内藤陳さんだけがノミネートをしていましたね・・(^o^)
休職中のニューヨーク市警殺人課刑事ジョンが、友人だった夫妻が殺害された現場に呼び出された場面。チェロキーのこの音声警告について、あとあとまで何回もでてくる。ストップさせようとしたら、米語からフランス語アナウンスになってしまったり、メートル表示に変わってしまったり、・・読んでのお楽しみ。それにしても単行本600ページは、読みごたえありますよ。(2001.6.17)
ワイルドファイア | ヒュンダイ | WILD FIRE (C)2006 | 白石朗訳 講談社 2008 |
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ジョン・コーリー・シリーズ4作目は、9.11以降の極右翼秘密クラブの末恐ろしい計画に妻のケイトと迫る。上下巻あわせて1,100ページにもなる大作ではあるが、ストーリーの謀略そのものが滑稽すぎて、まさに007を思わせるような活劇調は大味かなぁ。テクニカルな面での目玉になっていたELF(Extremely Low Frequency、3Hzから30Hzの極超長波)はなかなか面白い着想でした。
抜き書きは、ニューヨーク州北部のSaranac Lakeにあるクラブ本拠地に乗り込んだときの会話。ちなみにトーラスは青のレンタカー、ヒュンダイもレンタカーの"アクセント"、ヴァンはスタンドのおやじの"くたびれたダッジ"。他には、殺害された監視スタッフ・ハリーのキャンピングカー(政府支給のポンティアック・グランダム、自前のトヨタ車も)などが出てくる。
※先月ブログのほうにleiaさんから「ご主人がネルソン・デミルを読んでいて"…BMWxxxの後部座席にカバンを…"なんて変な文がありました」とお知らせいただいて、たぶん最新作の本書かと思い読んでみたもの。残念ながらBMWは登場しなかったので『王者のゲーム』か『ナイトフォール』かしら?(2009.1.6 #576)