GARFIELD, BRIAN /ブライアン・ガーフィールド
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ホップスコッチ | ボルボ | HOPSCOTCH, (c)1975 | 早川,1979 |
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『しかし、女客はそう簡単に引っ込んだわけではなかった。車道のはしに止めた車のその脇に立っていた。横柄にタバコをかざし持ち、火のつけられるのを待っていたのだ。車の色は白で、数年前のボルボ1800、72年に生産を中止した例のスーパー・チャージャー付きのGTクーペだった。なにかまるでそぐわない。彼女にはもっと荒々しいタイプ、例えばジャガーとかフェラーリといった車のほうが似合いだった。
「あなた、名前がおありでしょ?」
「まあね」誰もが彼のことをケンディッグと姓で呼んでいた。
「名前はマイルズ」
「マイルズ・ケンディック。いい名前ね、強そうな響きがあって。さ、だったら乗って。あなたの望みのところでこぼしてあげる。この辺りでタクシーはまず望みうすよ」
車の主の運転ぶりはひどいものだった。自らハンドルを握ると言う環境に生まれついた者のそれではない。 』
--COMMENT--
元CIAのケンディックがパリの賭博場でポーカーにせり勝った相手の女との会話であり、話の冒頭にでてくる。確かに、フェラーリはオーバーで、ジャガーぐらいが自然なようにも思えるが、作者はボルボ、それも多分赤の、を選んだわけであり、パリに住む粋な金持ちアメリカ婦人のプライベートカーとしては適しているように思える。
その他に、アメリカで使うムスタング、“くたびれたポンティアック”など登場する。
ケンディックがロシアも含め米英の情報機関に、わざと自分を追わせ知力でゲームを戦うという展開の早いアクションサスペンス。ちなみに、タイトルのホップスコッチとは、石蹴りのことであり、自分を石として枡に追い込ませることを例えたのでしょう。(91/12)
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