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Gilstrap, John /ジョン・ギルストラップ

雪原決死行フォード小型トラックScott Free, (c)2003飯島宏訳 扶桑 2005

『赤錆がなかったら、ペンブロークのフォード小型トラックは鋼板のコレクションといってもよかった。エンジンのうなりはタグボートさながらで、カムの騒音からすると、そこにサイコロでも入っていると思われたかもしれない。
「町まで40マイルほどだ」老人は騒音に負けない怒鳴り声で言った。「イーグル・フェザーっていうちっぽけな町だが」
「イーグル・フェザー!」スコッティは叫んだ。「ぼくはそこから出発したんだ」
「そうかい、お前さんを町の中までは連れていかねえよ。この騒ぎに巻き込まれるのはまっぴらだ。わかるな?」
ああ、わかるとも。「降ろしてくれたらぼくはどこへ行けばいい?」
「家に帰らないのかい?」
「ぼくはスカイトップに泊まっているんだ」
ペンブロークは大声で笑った。「いいか、絶対そんなとこまでは連れていかねえぞ。メイン・ストリートを上がっていけば左に警察署が見えてくる。たいしたところにゃ見えねえが、こっちは入りたくない独房がそろってるんだ」
経験者のような口調だったが、スコッティは深追いしなかった。』

--COMMENT--
 タイトルにひかれて初めて読んだ作者。以前は、この手の、いかにもアドヴェンチャーもの!!といったタイトルが多かったので懐かしい。
ユタ州のスキー場から、メタリカのコンサートに行きたくて同乗したセスナ機が吹雪で墜落。山岳サバイバル講習を受けていた16歳のスコッティが、なんとか脱出するが、そこからまた事件にまきこまれてしまう。荒っぽい筋立てのせいか、帯にあった《息をもつかせぬストーリーテリングで描き出す緊迫度満点の本格的アクション&サスペンス【巨編】》にはほど遠いかな。
 捜索にきた父親が借りたレンタカーのチェロキーや、"ブランダンが運転したなかで最もすばらしい車だった。キャタピラと銃器を除いた戦車といってもよかった。斜面を登りながら避けられないものがあれば乗り越えるだけの話だ"という警察署のハンビーが登場する。(2005.10.1 #374)


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