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GOLDMAN, WILLIAM /ウィリアム・ゴールドマン

マラソン・マンフォードMARATHON MAN, (c)1974早川,1983

『ベーブは懸命に歩こうとした。
「ほら、ここだよ」とエアハルトが言った。「すぐに出かけられるからな」自動車は古ぼけたフォードだった。エアハルトは束になったキーをポケットから出すと、暗闇の中で自動車のキーを探していた。
「こんなものに鍵をかけるのか?」ジェインウェーが呆れた口調でたずねた。
「この辺はひどい場所だからな」と、エアハルトが言いわけがましく答えた。「みんなしてどんなものでも盗もうとしているんだ。それに、これはすごく良い車だからな。買ってからもう12年になるけど、一度も事故をおこしたことがないんだ」
「そんなに上等な自動車なら、どうしてしすぐ鍵が開かないんだ?」無駄な言葉だった。エアハルトみたいなバカを侮辱しても効果はない。
「あった、あった、見つけたぞ。もう大丈夫だ」とエアハルトが声をあげた。キーを鍵穴に差し込んで軽くこじっていた。
「無理するなよ」とカールが注意した。「この前、おまえが無理にこじ開けようとしていた時には、トランクのキーを使っていたんだぞ、また同じことをやるなよ」』

--COMMENT--
ニューヨークのコロンビア大学で歴史学を学ぶ平凡で、夢みがちな主人公が、とあるきっかけでナチの残党たちに追われる。その元ナチのメンバーが使っているのが上の“古ぼけたフォード”となる。 ユーモアあふれる会話や、多彩なわき役達がいきいきと書かれているのがたのしい。
 自由国民社『世界の冒険小説』では冒険ロマン編に分類されており、どちらかと言うとエンターテイメント・サスペンス。(92/1)


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