HOEG, PETER ／ペーター・ホウ

スミラの雪の感覚モーリス1000 MISS SMILLA'S FEELING FOR SNOW, (c)1992 新潮, 1996: 『機械工がいうには、いま自分の車をクラッシック・カー博物館に引き取らせようと働きかけているそうである。車種は1961年型のモーリス1000。シートは赤い革張りで、トップとダッシュボードは木製だった。
「運転できそうにない」と、機械工はいった。
「私は免許を持っていないわ」
「車を運転したことは一度もないのか？」
「氷原で雪上車を動かしたことはあるけれど」そうはいったが、機械工は自分のモーリスを雪上車の仲間には入れたくなかったらしい。そこで、彼が運転した。運転席には、かろうじて彼の巨体がおさなる程度のスペースしかなかった。こんなことならもっと昔に博物館入りしていればよかったのに、と私は思った。』
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デンマークの作家（1957年、コペンハーゲン生まれ）ということで、とても新鮮で魅力あふれ、かつ本格的なミステリーに仕上がっている。主人公スミラが素敵だし、デンマークとグリーンランドの風土もよく描かれているし、会話もしゃれている。車は上記の他にも、けっこうこだわっているところがある。（97/08）