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ING, DEAN /ディーン・イング

鷲の血脈トヨタ・ランドクルーザーBLOOD OF EAGLES, (c)1987光文社,1988

『「わかっている。だからこそサインしたのだ。わしの財産すべてを思いどうりに処分してくれていい。それから、万一わしが死ぬか、行方不明になったら、息子と一緒にやって欲しいことが一つある。」
 ステューは額の汗を拭った。「毒をくらわば皿までだ。何でも言ってください」
「マークと一緒にわしのシボレーを分解修理してほしい。それと、あのトヨタだが・・」ジャスティンは肩をすくめ、にやっとした。「あいつも頼む。古いし、格好も良くないが、なかなか役に立つ。わしに似たところがあるよ」彼は照れた。 ・・・・・
ワイリー・リードのGMCピックアップがカレンの家の車寄せに止まっていた。キャンパーを載せた高い車体が右に傾き、今にもひっくり返りそうだ。スプリングを強いのに替えりゃいいのに、ステューは横を通りこしながらワイリーに忠告してやらねばと考えた。だが、やつにしてみりゃおんぼろなところが気に入っているんだろう。』
--COMMENT--
少年の頃アルバニアのパルチザンだった男が、ある秘密のために40年後アメリカでソビエトと中国の情報機関に追われる。その男が大事にしている車がランドクルーザーであり、これはもう当然40系だろうが、この小説の筋立にそって第二の主役として登場して来る。
上の引用からも解るように車に惚れ込んでいる様が書き込まれている。D・イングは車のほかにも、模型飛行機、音楽、料理、登山、サバイバル訓練などを得意とするそうでそのような雰囲気が伝わる。 フォード・ギャラクシー、バハ・バギー、ヤマハ、サーブ、ゴルフなどほかにもたくさんのクルマが生き生きと描かれており、車ファン必見。
 この作家の他の翻訳が出版されているかどうか解らないのですが以下の作品がある
 WILD COUNTRY、 SOFT TARGETS、 SINGLE COMBAT
(91/05)

ブラックステルス消ゆトヨタTHE RANSOM OF BLACK STEALTH ONE, (c)1989光文社,1989

『「ふー、腕がしびれたよ」ラウル・メディーナはトヨタのヘッドレストに額を押しつけて体の位置を変えた.
「しびれているのは腕だけじゃないみたいネ」女が右の耳にささやいた.怒ってはいないが、すっかり諦めているらしい.
 諦める暇があるんなら、もうちょっとせっせとやってほしいもんだ.そうすりゃ俺のあそこも目がさめようってもんじゃないか.メディーナはそういってやりたかったが、それは思いとどまった.なにしろ、例のスネーク・ピットの件で頭がいっぱいだ.とても女と楽しむ気分になれなかった.
「アーリーン、どうも今夜はその気になりそうもない」そして素早くこうつけ加えた.「風邪をひいたらしい」さすがに女の責任にするには気が引けたようだ.
 アーリーンはため息をもらすと顔をまわし、お得意のキスをした..いつ果てるともしれない熱烈なキスだ.
「これで私もあなたの風邪をひけるは」セクシーなアルト、電話の声を聞いただけでも男どもは昇天するだろう.
 メディーナはもぞもぞと身をよじり、なんとかシフト・レバーを越えて運転席に戻った.開け放したサンルーフから星空を仰ぎみた.メディーナは物思いにふけっていた.俺は軍の偵察爆撃機RB-66,CIAのU-2を経て、ここ15年はNSAの小型偵察機に乗っている.40を越えたが、体はまだまだ頑健だ.とはいえ、そろそろ分別を働かせてもいい頃じゃないのかい?』
--COMMENT--
NSA(米国国家安全保障局)が開発した2人のり小型ステルス機を奪い、ニューヨーク州エルマイラからメキシコまでの逃亡飛行が全編にわたって繰り広げられ飛行機ファンにとってとてもスリルあるサイエンスフィクションである.
 他にも車は出てくるが、たいていは車名でよばれているのに、何故かトヨタ車は“トヨタ”としかいわれない場合が多い.(92/11)


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