KENNEDY, DOUGLAS ／ダグラス・ケネディ

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仕事くれ	トヨタ	THE JOB (c)1998	中川聖訳 新潮 1998

『カスター刑事がこちらを向く。「個人的な所有物は、どこに送ったらいいと思います？」
個人的な所有物か。彼はハートフォードに移る際、西83丁目のワンルームマンションにあったわずかな家具を売り払ったのだ。そのため今となっては、アイヴァン・ドリンスキーの持ち物と言えるのは、スーツケース二個分の衣類、トム・クランシーとケン・フォレットの小説の山、その中で自ら命を絶った十年前のトヨタ、そして亡くなった子供の半ダース写真だけだ。
「残らず寄付しましょう」私は言いながら、額入りの写真を集めた。「これは奥さんに渡します」』
--COMMENT--
　"骨身にしみるリストラ・ミステリー"ということで読んでみました。『2000このミス』13位。コンピュータ雑誌の広告営業役員に登りつめたネッドが、ある日、すべてを失って、再就職の道も閉ざされ、泡をもつかむ思いで手にした仕事に事件がからんでくる。アメリカのビジネス界のすざましさがヒシヒシと伝わってきますね。引用したところは、同じタイミングでリストラされ自殺してしまう部下の部屋を刑事と整理にいくシーン。相変わらず"トヨタ"となっていますが、さてクレシーダあたりでしょうかね。最近、東京でも見かけるようになったビジネス・コンビニの＜キンコーズ＞に立ち寄る場面もでてきて興味深かった。(00.1.19)

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