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Khoury, Raymond /レイモンド・クーリー

ウロボロスの古写本The Sanctuary (C)2007澁谷正子訳 早川 2009

『キングエア機を操縦しているのは、カークウッドが雇った警備要員のひとりだった。かれらは一般的にはイギリスのSASやアメリカの特殊部隊の出身者で、イラクが混沌とした状態になって以来、こうした民間軍事会社の需要は非常に高くなっている。カークウッドの要請により、キングエア機は人目を避けて小さな軍用飛行場の片隅に着陸した。そこではトヨタのランドクルーザーが待機しており、ふたりは窓に濃いフィルムの貼られている後部座席に乗り込んだ。ブライアンと名乗るオーストラリア人のボディガードが二人のパスポートを預かり、小さなターミナルでスタンプを押してもらってきた。やがてランドクルーザーは飛行場を出て、アブー・バルザーンとの待ち合わせ場所に向かっていった。』
--COMMENT--
 レバノン生まれの著者の処女作『テンプル騎士団の古文書』に続く本書も、いわゆる古文書…アンチエイジングの秘術について書かれたもの…をめぐってのサスペンスが繰り広げられる。けっこうどんぱちアクション・シーンも多く、ひところ前の冒険ものを思わせるところがあるが、250年前に遡る争いと現在を結びつけるのはかなり無理があるなぁ。
 引用は、誘拐された考古学者の娘と得体の知れないユネスコ文化遺産部職員とが、古文書を受領しようとトルコに飛ぶシーン。昨今は登場回数が減っているランクルが活躍する。ほかには、摩訶不思議??な"ニッサンのダッジ・ドラゴン"、レバノンのアメリカ大使館の"チャコールグレーのグランドチェロキー"、誘拐犯グループの"紺色のメルセデスEクラスセダン"、ニッサンのパスファインダーなど。
 追突されてチェロキーのエアバッグが開いてしまう件がなんともぶっ飛びだった。衝突後、CIA職員が膨らんだエアバッグから脱出するため銃撃!!する…エアバッグには大きなエア抜き穴が開いていて、エアを抜きながらショックを和らげるので、膨らんだままということはありえないのですがね。まぁ、ほほえましいミスというところでしょうか。(2009.8.18 #603)


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