KING, ／シャーウッド・キング

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真夜中の青い彼方	フォード・トラック F-150	The Blue Edge of Midnight (C)2002	芹澤恵訳 文春 2006

『キャンプ場の洗面所でシャワーを浴びて髭をそり、スポーツバッグとわが身をトラックに放り込むと、わたしは進路を南にとり、パーム･ビーチ郡裁判所を目指した。そして今、こうしてめでたく渋滞に巻き込まれ、日々の通勤で鍛え上げられた歴戦のつわものに混じって、車線の奪い合いを演じているというわけだ。
　インターステイト95の中央車線を、制限速度のぎりぎり許容内で走ること一時間ほど、クレマティス・ストリートの出口でハイウェイを降りた。通りの車列に加わり、街にでてきたときにいつも利用する駐車場までのろのろと這い進んだ。そこの駐車場を管理している親爺は、わたしの濃紺のF-150とわたしの顔をちゃんと覚えている。前回利用したのが、たとえ12ヶ月まえでも。駐車を断られたことは一度もない。わたしのほうも、親爺に渡す20ドル紙幣を忘れないようにしている。』
--COMMENT--
　2003年のアメリカ探偵作家クラブ新人賞を受賞したジョナサン・キングのデビュー作。私の好きなフロリダ・エバーグレイズ環境保護系ミステリ（カール・ハイアセン、ジェイムズ・W・ホール『まぶしい陽の下で』、ローレンス・シェイムズ…）であり、自然の描写とか、大湿原をカヌーで行き来するシーンなどは楽しめるし、今後の作品も期待できそう。ただし、警官をしていたマックスが窃盗の少年を撃ち殺してしまった心の傷を背負っていてフロリダに逃れてくるあたりは、あまりに常套的だったりする。
　引用の部分ででてくる、インターステイトでの渋滞とか無謀な割り込み運転とかは他にもしつこく(^○^)でてきて、よほど腹に据えかねているようだ。フォードF-150がミステリに登場するのは私の知る限りでは初。(2007.1.11 #455)

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