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LIND, HAILEY / ヘイリー・リンド

贋作に明日はないトヨタ・ピックアップSHOOTING GALLERY (c)2006岩田佳代子訳 創元 2012

『20分後、わたしはシティの4ブロックをひたすら歩いてオンボロの愛車 ― トヨタの緑色のピックアップトラックだ ― を停めてあったところまで行き、黒いレザーバックパックの中を引っかきまわして特大キーリングを見つけてから、エンジンを始動させ、チャイナベイシンを目指した。オークランドベイブリッジの真南に位置する、古い倉庫が立ち並ぶ地区。わたしのスタジオが入っているのは、椅子工場を芸術家たちのスタジオに改装した建物の二階だった。
 昨年の早春、この建物を購入したのはJ.フランク・デベントン。この企業家の真新しいジャガーにわたしはいきなり追突した。わたしたちが、ときに言い争う家主と借り手の関係になったのは、この最初の出会いが影響大だ。』
--COMMENT--
元贋作師アニー・シリーズの第2作は、サンフランシスコの高級画廊のオープニング・パーティで彫刻家の死体を見つけ(他の客は展示物だと思い込んでいた…)たあと、隣の美術館ではシャガールが盗まれと、事件が広がっていく。たくさん登場人物がいて、さらに性格付けがあまいなので読んでいてごちゃごちゃ。後半になるとようやくアクションが入ってきてなんとなく読み進むことになる。ドタバタ・アート・ミステリということかな?
 主人公の車は引用のとおりトヨタ・ピックアップと珍しい設定。殺人課の女性刑事の"くすんだ色のフォード・セダン"、母親のシルバーのホンダ・セダン、アニーを追いまわす"黒いトヨタのハイランダー"、渋滞中にせりあう"赤いBMWコンヴァーティブル"、インターネット業界女性のミニクーパー、親しい絵画泥棒の"シャンパン色の新型レクサス"、引用にでてくる家主のジャガーをなんとか借りるために嘘八百で言い訳するときに引き合いに出す"ピンクのジオメトロ"、フィナーレの大カーチェスをやる"クリーミードーナッツ・バン"など。なおヘイリー・リンドは姉妹二人の共著名。 (2012.2.20 #726)


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