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MacLeod, Charlotte/シャーロット・マクラウド


牛乳配達退場お粗末なポンコツ車Exit the Milkman, (C)1996高田惠子訳、東京創元 1999

『じきにカトリオーナは、自分の考えていた方向へ向かっていないことに気づいたが大して気にしなかった。・・
とつぜん、なんの脈略もなく、しばらく燃料計をチェックしていなかったのを思い出した。カトリオーナは燃料計に目をやり、どこだかわからない荒地でガス欠にならないうちにサービスステーションを見つけた方がいいだろうと考えた。このお粗末なポンコツ車はけっしてガソリン食いではなかったが、走り続けるためには、信念と期待より、もっと実体のあるものが必要だった。カトリオーナは走りながら周囲に目を配り、じきにテキサコと書かれた看板を見つけた。
 ただ、ここで問題が一つ生じた。スタンドの一台しかないポンプのそばにはすでに二台の車が停まっており、そこから聞こえる音の大きさからすると、二台の車には、気のいい店員の長らく音信不通だった親戚たちがぎゅうづめになっているらしかった。まあいいだろう、一日はまだはじまったばかりだ、とカトリオーナは思ったそのうちなんとか正しい道が見つかるだろう、とはいうものの、いまいるところが定かではない。・・』
--COMMENT--
 久しぶりに手にしたマクラウドの絶妙ユーモア・ミステリー。もう出てくる人物も奇妙な連中ばかりだし、ユーモアたっぷりの会話の連続・・などなどたまには、こんなミステリーもいいものだ。
そうそう、引用したとおりミステリ作家のカトリオーナの車がオンボロだし、田舎の警察署長もオンボロ車が壊れて新しいパトカー購入が許可されず子供用の自転車でパトロールするというけったいさ!! ただ、農業大学教授が誘拐された車はリンカーン・タウンカーだし、その教授の甥がキャディラック・セヴィルだった。
 それと、ミステリ作家らしく、情報を得るために立ち寄った図書館のこととか、親切な司書のことなどがいきいきと描かれていて楽しめる。(2002/08/13)

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