MAC ANTHONY, JOSEPH /ジョゼフ・マクアントニー
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血の商人 | トヨタカローラ他 | THE BLOOD GOD, (c)1987 | 新潮,1990 |
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『「突然お電話してすみません、ミス・クライス」電話に出た彼女にハガティはいった。
「わたしはハミルトン・レイナーというもので、階下の231号室に住んでいます」
「それで?」彼女の声は険しく冷たかった。
「わたしの車が今朝、ここの駐車場をでただれかに傷をつけられましてね。管理人の話では、トヨタカローラだそうです」
「私はトヨタには乗っていません。シェヴェットです」
「とにかく、青い小型車だったんです。朝の十時頃のことです」 「それじゃわたしじゃないは。毎日、8時15分前にはここを出るんです。それに、私の車は白です」
「そうですか」ハガティはいった。「どうも失礼しました。お気を悪くなさらないでください」』
--COMMENT--
モントリオールへ向かうアムトラックの車内で男が変死したことから事件が始まり、マイアミの血液売買ルートそしてグアテマラの黒幕を追う物語。上の引用は、犯人グループの女性を追跡するため、おとりの電話をかける主人公の会話。カナダが舞台なのでカローラの登場はごく自然ですね。
ほかにも、フォルクスワーゲン、放送記者ハガティのムスタング、CIAスタッフの黒のコルベット、グアテマラ警察の緑色のフォード・ファルコンなどいろいろな車が登場し楽しめます。
マクアントニーはジャーナリスト出身だそうで、結構深刻な血液売買というテーマを底流として荒削りだが、アクション小説的な派手な展開の娯楽作品に仕上がっている。(91/12)
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