MASON, DAVID ／ディヴィッド・メイスン

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バビロンの影	ランドクルーザー	SHADOW OVER BABYLON, (c)1993	早川,1994

『20分後に、艶消しの緑色だった２台のランド・クルーザーが汚い油の薄い膜に覆われた。
｢よし｣ハワードが言った。｢ついでにこれの運転を練習しよう。ジョニィ、初めにきみと俺が運転する。キャンプを６周だ。おれとほかに３人乗って先導し、次にきみとあとの３人が先頭にでる。次にマイクとダニィにかわる。その後ボブとトニイだ。何かにぶつけないようにしてくれ｣
｢すでにぶつかったように見えるな｣マクドナルドがつぶやいた。
｢驚いたな｣ハワードが感心した。｢この２台はまさにおんぼろだな。おれですら、10マイルももたないと思うよ。それが、その汚れの下は新品だ。｣
　彼らは一日の仕事を終え、ランド・クルーザーを作業場に入れて鍵をかけた。
４月２４日、金曜日の午後だった。全てが計画通りに進めば、彼らは明日の夜、イラク領内に入る。』
-- COMMENT--
　1951年生まれの英国人作家ディヴィット・メイスンのデビュー作。
イラク大統領サダム・フセイン暗殺を請け負った６人のスペシャリストが、英国からサウジそしてイラクに侵入し狙撃するストーリーだが、徹底した謀略作戦と船、航空機、ヘリ、車そして銃器を縦横に使いこなす凝った道具だてのサスペンスであり、まさにイギリス伝統の冒険ものとしてとことん楽しめる。
　巧妙に偽装されたランド・クルーザー３台が侵入、脱出の足として使われ、上下巻約600ﾍﾟｰｼﾞの半分ぐらいに登場する。そのほかサーブ、ＢＭＷ、ダッジ・ラムチャージャーなどたくさん車がでてくるが、英国車はエスコートがちょっと顔を出す程度。久しぶりにランド・クルーザーが活躍するサスペンスに出会った、ということはそれだけ本流の冒険小説が少なくなった訳で大変残念。(94/11)

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