PALMER, THOMAS ／トマス・パーマー

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密輸人	トヨタ、ダットサン	THE TRANSFER, (c)1983	早川書房,1992

『彼らは信号待ちををしていた．マイケルは目を閉じて背中を丸め、額をハンドルにつけた．信号が青にかわったときも、まだ顔を伏せていた．後続の車がクラクションを鳴らした．マイケルがぱっと身を起こし、トヨタはビリヤードの玉のように前に飛び出した．マイケルとオーヴァスはシートに押しつけられた．マイケルは時速４０マイルまで加速し、次の信号の１ブロック手前で思いきりブレーキを踏み込んだ．オーヴァスが文句を言う暇もなく、マイケルはしゃべりだした．正確には独り言だったが、オーヴァスは聞いていた．
「それで何もしなかったのか．目の前で無防備に延びているってのに、何もしなかったってのか」
信号が変わると、一気に前の団子になった車の群れの後ろにつけ、強引に間を縫って走った．
　オーヴァスはきっとマイケルの方を向いた．
「奴から銃をもぎ取ろうとしたんだ．その時奴が意識を取り戻した．銃が暴発した．おれは倒れてー」』
--COMMENT--
マイアミのサルヴェージ会社の社長オーヴァスが異父弟マイケルのコカイン密輸入計画に巻き込まれていく．パーマーの処女作とのことであるが、なかなか練り込まれたサスペンスが楽しめる．
なんと本書の下巻のカバーイラストにカローラ２ドアとそれを追うヘリが描かれている． 原題のTHE TRANSFER とは,コカインと代金の受け渡しを意味している． 他に、ダットサンがちょっとだけでてくる． (93/02)

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