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Poyer, David /デイヴィッド・ポイヤー

ハッテラス・ブルーHatteras Blue (c)1989メルセデス280SE厚木淳訳、東京創元社 1994

『もっと質問したかったが、相手はすでに声の届かないところにいて、ぎくしゃくした足取りで桟橋を歩いていく。銀と黒のメルセデス280SEが事務所の裏から走ってきて、運転手が上体を屈めて男のためにドアを開けた。
バーニーはメモ帳をつかんだままロッカーから飛び降りた。キャビンの上に首をのばし、男が見えなくなったのを確かめると、メモを開いた。
「‘タルンヘルム’はわれわれのものだ」と小声で読み上げた。
彼女はこのことが気に食わなかった。さらにしばらく車を見つめ、すぐに自分の万年筆をとりだしてナンバーを書き留め、続いて男と運転手と車の特徴を書き添えた。』
--COMMENT--
夏の休暇中に、館山市の図書館でみつけた今は珍しい海洋冒険もの。だいぶ以前に同著者の『冬山の追撃』を見たな−。ノースカロライナのハッテラス・バンクスでサルベージ屋に男が訪ねてくる。とくれば、ストーリーは沈没船金塊探しにからむ謀略もので当たり!
 ややマンネリな舞台まわしではあるが、二次大戦中のドイツ潜水艦が横たわる海底へ180フィートもスキューバで潜るシーンはなかなかの迫真。ダイビングが好きな人には興味深いだろう。上の引用は、サルベージ屋の彼女のバーニーにメッセージをわたす追撃者の車がでてくるところ。
なお、泊まっている千倉の山荘から、館山図書館までは、自転車で50分ぐらいかかるが、のどかな里道を走るのがとても気持ちよい。館山は漁港なので、図書館には海に関する本が多かったような気がする。 (1998/08)


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