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Roberts, Gillian /ギリアン・ロバーツ

わたしをさがさないでホンダ・シビックTime and Trouble, (C)1998栗木さつき訳 集英社 2002

『午後の陽射しを楽しんでいると、授業が終わり、ドアが開きティーンの声がいっせいに聞こえてきた。どの子がレベッカかあててみせようと意気込んでいると、当のレベッカが話し掛けてきた。
「じゃあ、、駐車場で待っているわ。車は白いホンダ・シビックよ」ビリーが言うと、それで高校生の女の子にはじゅうぶんわかるようだった。
 ところが、駐車場に戻ってみると、どのホンダが自分の車か、ビリーには見分けがつかなかった。高校生の半分がホンダに乗っているのだ。青のほうが人気があったが、ビリーは一台一台の車をしげしげとながめ、アメリカの中年世代が買う車種や型に好感をもった。ここは車を見せびらかすための駐車場ではない。だいたいマリン郡では、BMWが車の基本だという意識が強すぎる。駐車場にはメルセデスが一台だけあったが、許容範囲だった。どう見ても25年は前の型だったし、ワックスをごしごしかける必要があったから。』
--COMMENT--
これまで美人英語教師探偵アマンダ・ペッパー・シリーズを書いてきたギリアン・ロバーツによる、新しい女性探偵エマ&ビリー・シリーズ第1作。サンフランシスコからゴールデンゲート・ブリッジを渡ったリッチで風光明媚なマリン郡を舞台に、失業してにっちもさっちもいかなくなったシングルマザーのビリーが強引に勤めることになった探偵会社での初仕事。失踪した女子高校生の行方の調査で、高校の友達に聞き込みにいくシーンが上記引用です。シビックはシングルマザーの車にぴったりだけど、高校の駐車場の半分も占めるんですね!!
 ほかに、失踪した子の父親が大切にしている愛車で、いつもガレージにきちんと収め埃を払って完璧な状態にしている"紺色のぴかぴかにワックスがけされたレクサス"も登場する。
 それにしても選んでいるわけではないが、手にとるミステリは最近、女性探偵ものばかりだ。男性の探偵ネタは出尽くして、「犬が人に噛みついてもニュースにならず…」という伝で女性が活躍するほうが売れるとは思うけどちょいと極端だね。(2004.8.13)


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