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Catherine Sampson ／キャサリン・サンプソン

ついていないことだらけBMWFALLING OFF AIR (C)2004後藤由季子訳 新潮 2007

『心地よい沈黙のなか、わたしたちは南ロンドンの通りを街の中心へと向かっていた。窓から暖かい風が吹き込んでくる。わたしは車の運転が好きだ。まだ欲望の赴くままに生きていた4年前、1990年型の赤のBMWを買った。スポーツカーなみの加速で、クリームみたいになめらかに時速100キロに達する車だ。華美を抑えた細身のデザインはとても気に入っているけど、いつも何かが落ちたり不調になったりするし、部品は、同じ重さならおそらく純金より高い。
　いまでは、さらにどこかが故障するのではないかと心配しながら運転する状態だ。がらがらという不吉な音を出すまでになっているのに、ローナやターニャの家に行くのにも使っていたし、最近では警察署の行き来に使ってはいたが、テリーが送り迎えを申し出てくれたとき、そのチャンスは逃さなかった。』
--COMMENT--
　英国タイムズ誌特派員だったサンプソンのデビュー作。双子の赤ちゃんを抱えてテレビ・プロデューサー休職中のロビンが、女性活動家の転落事故をふと目撃したことから物語が始まる。警察からは容疑者として疑われ、マスコミから犯人扱いされ、勤務先は復職を断られ……幼児を抱えて動きの取れないなか散々な目に。元気のいいシングルマザーが活躍するコージー・タッチで楽しめる。
　引用文末で送迎してもらった車は"しみ一つない白のレンジローヴァー"とおしゃれ。(2007.10.3 #514)

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