SANDERS, LAWRENCE /ローレンス・サンダーズ
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詐欺同盟 | ベントリーほか | SULLIVAN'S STING, (c)1990 | 早川書房,1993 |
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『リタはベントリーを運転するのが好きだった。
「すごくがっしりとしているのよ」と、リタはいった。「それに、お金の匂いまでするの」
というわけで、国道1号線のバイパスをポーカ・ラトーンへ向かった時には、リタがハンドルを握っていた。北へ向かう車は驚くほどすくなかったが、休暇を楽しみに来た人を詰め込んだ車が、続々と南へ向かっていた。
ラスボーンはゆったりとくつろぎ、その日最初のたばこを吸っていた。
「銀行での用が終わったら」と、ラスボーンはいった。
「ポーカ・ラトーンで昼食を食べて、買い物でもしよう。それから家へ帰って、もうすこし体を焼くんだ」
「心配かい?」と、ラスボーンはいった。
「ううん。かんたんなことだって、あなた、いったでしょ」
「ああ、かんたんだよ。すっと入っていって、金を受け取って、すっと出てくりゃいいんだ。なてことないよ」
銀行の前に車をとめた。リタが下りると、ラスボーンは運転席に移った。
「ここで待っているからね。」と、ラスボーンはいった。「どこにも行かないで」』
--COMMENT--
マイアミで老後をおくる金持をねらう詐欺師達と彼らを取り締まる捜査グループのかけひきがユーモアたっぷりに展開する。囮となった女性警官リタ・サリヴァンが詐欺団ボスのラスボーンと出かけるシーン。
なにしろたくさん、たくさん車が登場するのが楽しい。上記以外にも、カモを引っかける邸宅のドライブウェーには、キャディラック、BMW,ジャガーXJ-S、リタが最初に乗ってくるのがホンダ・シヴィック、そして後にシボレーのコルシカ、刑事達がボルボ、プリマス、フォード・エスコート、それとトヨタ・クレシーダなど。やはりアメリカのミステリは車が出てこないとしまらないいんですね。(96/04)
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