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SAVARIN, JRIAN /ジュリアン・サヴァリン

ナジャを追えアウディ・クアトロNAJA, (c)1986芙桑社,1988

『ガラハーはきらめく黒塗りのアウディ・クアトロを幹線道路A25沿いにサリー州ドーキングへと駆った.ガラハーはワイパーがせわしく動くフロントガラスごしに目を凝らした.雨は気にならなかった.
 どちらかと言うと、ターボ・エンジン搭載の四輪駆動車が劣悪な条件をものともせずに走る様を楽しんでいた.背後には太いタイヤに巻き上げられて、水煙が高く上がり、渦巻いた.ガラハーは少し窓をおろして、雨の流れる路面をタイヤがかむときにたてる音に耳を傾けた. ガラハーは満足げに微笑した.
 道は曲がりくねりながら延々と下っていた.スピードメーターの大きな緑色の数字は時速160キロのところでぴたりと止まっている.この車ならカーブをさらに高速で曲がれるのだが、ガラハーは自重した.それでもクアトロが275馬力のトレーザー改良型エンジンを奔放な歓喜の声のように響かせながら、カーブを猛然と通り抜ける様子には、大いに興奮した.  ガラハーは6個のデジタル計器をさりげなく見渡した.
金属音を放って大空を横切る2トンのファントム戦闘機の操縦席の、格段に複雑な計器を目にしていた日々を思い出せた.ガラハーはギアを四段に落とすと、急カーブにはいった.  大回りの右カーブに変わると、ガラハーはギアを五段に戻した.メーターは一瞬185キロにはね上がって、やがて180キロに落ちついた.道は平坦になり始めた.』
--COMMENT--
元情報局秘密工作員のゴードン・ガラハー・シリーズの第4作目.主人公のクアトロが最初から最後まで大活躍するわけだが、余りにできすぎた組み合わせと、その当時のクアトロの名声が凋落しており、気軽なエンターテイメントにとどまっているが残念.(93/12)


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