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STANLEY, J.B. /J.B. スタンリー

バーベキューは命がけ移動図書館STIFFS AND SWINE (c)2008武藤崇恵訳 武田ランダムハウスジャパン 2011

『元スクールバスの運転手のウェンドル・シンガーが図書館にやってきた。いまは一台しかない移動図書館の運転手をしている。修理もお手のもので、往年の人気ジャズ歌手にちなんでレナ・ホーンと名づけた年代物の移動図書館を、最小限の経費でなんとか動かしてくれている。ウェンドルとレナは、シェナンドア郡中にちらばるデイケアセンター、病院、刑務所、そして収穫の繁忙期には農場を離れられない利用者たちのもとへと本や雑誌を届け、重宝されてきた。障害者、家を離れられない人々、自宅教育をしている家庭などにも感謝されている。
 しかし、残念なことに、15年間も山道をのぼりおりしたツケがとうとうまわってきたようだった。ウェンドルは、愛するレナはそのうち引退することになると何度となくジェイムズに訴えていた。レナはすでにウェンドルいうところの「ダクトテープでぐるぐる巻にしてあとは無事を祈るだけ」という状態だった。
 月曜日の朝、ウェンドルの暗い顔を見たジェイムズは、とうとうレナが最期を迎えたのではないかと怖くなった。予感は的中した。』
--COMMENT--
 ダイエットクラブ・シリーズの4作目。原書サブタイトル"A Supper Club Mystery" とはかなり印象が違うなぁ!くいしんぼ仲間ではあるがほとんどダイエットには関心がなさそう。 いつもの5人組がバーベキュー・フェスティバルの女王豚コンテストの審査員に選ばれて出かけたが殺人事件がおき、なんとメンバーの一人が容疑者になってしまう。
 主人公が図書館長ということで楽しみに選んだものの、上記引用の移動図書館車がなくなりそうになること、金曜日夜に集まる不貞の高校生たちに頭を痛めるトピックだけで拍子抜け。20章ある各タイトル毎においしそうなメニューが並び、読んでいておなかの減るコージー・ミステリだし、大規模なバーベキュー・コンテストの仕組みや内幕がわかってまぁ楽しめる。主人公のおんぼろブロンコや、事件現場となる大型キャンピングカーなども登場する。(2011.5.22 #689)

とんでもないパティシエブロンコTHE BATTERED BODY (c)2009武藤崇恵訳 武田ランダムハウスジャパン 2011

『携帯マグにコーヒーを入れ、ジェイムズは北にあるワシントン・ダレス国際空港に向かった。ミラがキッチンテーブルに残していったメモには、ポーリーンが乗る飛行機の情報と、連れがいるかもしれないと書いてあった。ジェイムズはブロンコの助手席にそのメモを放り投げ、エンジンをかけ、クライブ・カッスラーの最新作のオーディオブックをカセットデッキに入れた。それから2時間、ダーク・ピットの壮大な冒険に時間を忘れて夢中になった。
 空港まで8キロほどになったころ、ダークピットのような着装の妙と勇気が、ほんの少しでもいいから自分にあればと痛感した。そうしたら、延々と続く大渋滞を抜け出す方法を見つけられるかもしれない。ヴァージニア州運輸局の点滅する矢印形の照明をあびながら、胃の痛くなるような10分間を過ごした。もうポーレットが到着する時間には間に合わない。』
--COMMENT--
 ダイエットクラブ・シリーズの5作目は「お菓子の女王」と呼ばれるわがままパティシエが毒殺される事件をダイエットクラブのメンバーが追う。その事件以外になにしろトピックがむちゃ多く、ジェイムズの父親の結婚、メンバーの郵便配達員のTVクイズ大会出場、ジェイムズがようやくダイエットに挑戦したり引越し、また別れた妻から子どもがいると告げられよりを戻す…などなど読者大サービスというか話の筋が霧散するほど。図書館の棚にあったぬいぐるみのエルフが行方不明になる話はずっと続くがストーリーにどう関係するのか最後まで分かりませんでいた。
 引用はお菓子パティシエを迎えにいくシーン、このオンボロブロンコは彼女からさんざんけなされてしまう。ほかに、先妻のヴォルヴォ・ステーションワゴンが登場。(2012.4.5 #729)


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