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Thomson, Keith /キース・トムスン

ぼくを忘れたスパイシボレー・ピックアップOnce A Spy (c)2010熊谷千寿訳 新潮 2010

『「チャールズ、昼食をおごってやろうか?」ドランモンドがいい、ボウリング用パンツから札束を取り出した。[中略]
 500ドルが、ホットドッグ四つ、ゲータレードの大瓶を二本、ロードマップ、ダンガリーのオーバーオール二本、コート二着、ドラモンドのスニーカー一足、それから、ホットドッグの五分の一の値段でも喜んで手放したと思われる、がたぴしの1962年型シボレーのショートヘッド・ピックアップに化けた。
 イグニッションキーをまわしと、ピックアップのエンジンがリウマチにかかったように咳き込み、テールパイプが黄色い羽目板に黒いオイルを吐きかけた。しかし、しばらくするとチャーリーとドラモンドは80キロで、意気揚々と、モニュメントをめざして走っていた。』
--COMMENT--
 競馬狂いで借金まみれのチャーリーと認知症になった父親が、次々と何者かに襲われ逃亡するが、父親はどうも以前辣腕のスパイだった。荒っぽいドタバタのサスペンスの上、読みにくい訳文がプラスしていまいちのユーモア・ミステリといったところ。
 物語の大半は逃走に次ぐ逃走なので、クルマがたくさん登場。競馬の賞金で手に入れたボルボ・スポーツカー、ロシア・マフィアのキャディラック・エルドラド、弁護士のBMW Z4ロードスター、モーテルに停まっていた"おんぼろトヨタ・クレシーダ"と"バーガンディーのフォード・トーラス"、追跡者の"黒いダッジ・デュランゴ"、農家のジープ・ワゴニア、デラウェアで拝借するシボレー・マリブなど。(2010.12.19 #668)


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