Robert Ward /ロバート・ウォード
四つの雨 | ボルボ | FOUR KINDS OF RAIN (c)2006 | 田村義進訳、早川 2007 |
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『300万ドルじゃ足りない。くそっ。家を2軒買ったら、それでおしまいになる。文無しだ。少なくても400万ドルはいる。
それに車のことも考えなければならない。今乗っているのは、ポンコツの古いボルボだ。非物質主義を標榜する左翼のはしくれとしては、それでなんの問題もない。だが、ジェッシーのような女にそのような生き方を押しつけるわけにはいかない。ジェッシーは他人に自慢できるような格好のいい車に乗りたがっている。できることなら、夢をかなえてやりたい。それが歳の離れた恋人を持つ男のつとめだ。
ジェッシーは恵まれない者の犠牲になりたいなどと思っていない。当然だ。本人自身が恵まれない者の一人なのだから。』
--COMMENT--
50歳を越したしがない心理療法士の前に、ジェッシーが現れもう一度夢を咲かせたい…と窃盗を思いつくがそこから転落が始まる。当人もジェシーも、友人もご都合主義者ばかりなのを皮肉っているノワールものと言えそう。文中の「…女の尻に敷かれたヒーロー」はドンピシャだ。
引用以外の車としては、殺人課刑事のクリーム色のクラウン・ヴィクトリア、美術商のシルバーのBMW、窃盗をたのむ男の79年式カマロ・I・ロック(?)など。(tablet入力 2012.6.28 #744)
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