夏時間反対の主張

夏時間化の実際 1.省エネルギー効果?

サマータイム導入のねらいであり、かつ最大の社会的効果としている「省エネルギー・温室効果ガス削減」の具体的イメージはどんなものであるか、釧路、東京、那覇の代表3地点でイメージ図化してみた。国民会議報告案の省エネルギー効果試算では、家庭・業務用の冷房需要は効果がなく、大半が家庭用照明需要削減となっているので、その面に注目して表現してみている。
【図の説明】
・各月の矢印線が日の出から日没までの日照時間(日の出・日没時刻は海上保安庁のデータサービスから入手)で、下段Sがサマータイム制、上段NSが普通の時刻進行。一応、朝6時に起床して、夜23時に就寝するパターンを想定した。
・日没から家庭で点灯するとして、赤は非夏時間の場合の点灯時間、黄が夏時間の場合で、当然一時間短縮される。
・念のため、企業など事務所の照明時間を朝9時から夜19時までとしてグレーで示した。このような業務照明は日照があろうとなかろうと点灯される需要なので、省エネルギーにつながらない。

家庭での夜間の点灯開始時刻が一時間ずれることで点灯時間短縮が図られるので、地点とか日没時間に関係なく一定の省エネルギーにはなる。ただし夏時間化しても、この例のように23時には消灯するということが実際的かどうかは疑問。釧路の6月のように、夜21時まで明るいとなると、この大前提はかなり怪しくなり実質エネルギー削減はもっと少なくなりそうだ。
また、朝の時間帯をみると、釧路の6月、東京の4、9、10月、那覇の全月で6時の起床時に暗くて点灯しなければならない電力需要が増加することがわかる。国民会議の試算過程が出ていないので判断できないが、この需要増を見込んでいるのかどうかも疑問ですね。

後で気づいたのですが、夜間の照明時間短縮はあくまでも家族世帯でのケースであって、単身世帯では話が違ってくる。釧路の5月を例にすると、非夏時間では帰宅する19時から点灯するが、夏時間では19:38から点灯するので一時間の短縮はしないこととなる。ほぼ一時間短縮するのは(図の19時以降の白の部分)釧路・東京では6-7月だけ、那覇では5-8の4カ月だけとなる。細かいけど、こんな非効果部分も算入しているのか疑問ではある。(この項1999.4.20記載)
釧路
N
42.58
E
144.23
日の出時刻が早い釧路でも、10月には起床する6時には真っ暗
東京
N
35.39
E
139.45
東京では、サマータイムにすることで、4・9・10月で起床時間が真っ暗
那覇
N
26.13
E
127.41
夜明けの遅い那覇では、夏時間にしなくても9・10月はもともと6時には日がでておらず、サマータイムにすると、なんと4月から全ての月で起床時に点灯しなければならなくなる

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(C) Takeshi Itoh,1999. 100 Misteries & Their Lovely Cars inserted by FC2 system